無駄吠えリモコン

無駄吠えのしつけをさぼると‥‥。
犬の無駄吠えをやめさせないと、とんだアクシデントになることがあります。
以下に、実際に起こったアクシデントと、飼い主にかかる責任の例を記しておきますから、災難にあわないようにくれぐれも注意してくださいね。

アクシデント1

 

子供が連れ歩いていたボーダーコリーが、年配の方に吠えてケガさせた。

 

アクシデントの経緯

 

小学2年生の長男とともに、ボーダーコリーの散歩をしていました。

 

散歩の最中に急な買い物ができたので、「家で見たいテレビがある」と主張する長男にボーダーコリーを任せて、先に帰宅するようにいいました。

 

そのあと私は商店街で買い物を済ませて、帰宅している途中、長男と何人かの大人が道路わきで立っているのを発見しました。

 

私は胸騒ぎがして、その場へ急行してみました。

 

話を聞くと、長男と年配の男性がすれちがう際、ウチのボーダーコリーが年配男性に向かって吠え立て、びっくりした年配男性がひっくり返って救急車で搬送されたらしいのです。

 

検査の結果、年配男性は、腕を骨折する大ケガ。

 

とうぜん、責任をとってほしい、補償してほしいと訴えてきました。

 

たしかに、年配男性がケガをするきっかけになったのは間違いありませんが、子供やウチのボーダーコリーに責任能力はないと思うんですけど。

 

法曹の見方

 

責任を取るべきなのは、長男さんやボーダーコリーではありません。

 

あなたです。

 

ボーダーコリーのオーナーである、あなた方ご夫妻であります。

 

こんなの、当たり前の当たり前、常識の常識です。

 

民法の718条にもあるように、飼い犬のオーナーは、犬が人様に危害を加えたときに責任をとらなければなりません。

 

アクシデント1の場合も、飼い犬が急接近して吠え立てたことが年配男性のケガのきっかけになったわけですから、その点から考えても責任から逃れることはできないと思われます。

 

たしかに、犬種や犬の個体の性格に適したしつけをしていれば、賠償などの責任から逃れることができることもあります。

 

しかし、トラブル3の場合、飼い犬を連れ歩いていたのは小学2年生の男の子だったわけです。

 

たしかにボーダーコリーは中型犬で、それほどサイズのある犬ではありません。

 

それに加え、たとえボーダーコリーが温和な性格の個体だったとしても、犬に不慣れな人にボーダーコリーが急接近すれば、不慣れな人に緊張が走ることも高い確率でありうる訳です。

 

小学2年生の男の子ではなく、親がボーダーコリーを連れていれば、ボーダーコリーが年配男性に急接近しようとしたときにコントロールできたはずです。

 

しかし、小学2年生の子では、そこまで危険を察知する能力はないことでしょう。

 

それ以前に、犬を十分にコントロールできない子供にボーダーコリーを任せたというのも問題です。オーナーである親は、飼い犬を管理する責任を果たしていなかったとみなされますからね。

 

よって、年配男性の医療費などの補償について、ボーダーコリーのオーナーである親に損害賠償責任が認定されることが濃厚となるわけです。

 

アクシデント2

 

犬の苦手な年寄りが犬に吠えられて転倒し、用水路にはまって負傷、入院した。

 

アクシデントの経緯

 

ウチの爺ちゃんは、幼いころから犬が大キライなのです。どうも、野良犬に噛み付かれたらしくて。。。相手が小型犬でも子犬でも、とにかく吠えられたらビビッてしまうのです。

 

そんな爺ちゃんに災難が‥‥。

 

爺ちゃんは町内の将棋愛好会から帰宅途中、用水路沿いの歩道を歩いていたら、飼い主と散歩中のコーギーと遭遇してしまったのです。

 

そのコーギーはかなりのバカ犬で、案の定爺ちゃんに向かって猛然と吠え始めました。弱いくせに、威勢だけは一人前だったようで。。。

 

コーギーの飼い主は、あわててコーギーをコントロールし、爺ちゃんの方に行かないように制止しました。

 

ところが、犬が苦手な爺ちゃんはビビッてしまい、焦って逃げようとしました。ここであろうことか、歩道沿いの用水路にはまってしまったんです。足をすべらせたみたいで‥‥。

 

通りすがりの人や、コーギーの飼い主に助け上げられたみたいですが、きっちり足を負傷し、クソ汚い水もけっこう飲んでしまったので、即入院する事態となりました。

 

コーギーの飼い主に、きっちり医療費を払わせたいのですが、この場合どうなるのでしょうか?

 

 

法曹の見方

 

同じようなケースの判例が出ています。

 

この判例では、児童が自転車を運転していたところ、駆け寄ってきた小型の犬に気をとられて自転車の操作を失敗し、道路に並行して流れている川にはまって負傷しました。

 

裁判官は、児童ならば犬が攻撃してくるとビビる子もいるのだから、小型の犬といえどもリードでつなぐべきだったとして、飼い主側の過失責任を認定したのです。

 

しかし、アクシデント1のお爺ちゃんの事故の場合は、相手のコーギーは最初からリードでコントロールされた状態でした。

 

コーギーの飼い主は、コーギーがお爺ちゃんに向かって吠え始めたとき、しっかりとリードを引いていました。

 

それに、負傷した本人は、児童ではなく大人でした。まあ、年はとっているかもしれませんが、大人は大人です。

 

ですからこの場合、コーギーの飼い主に過失があったとは言い難いわけです。

 

もちろん、このコーギーが、つね日ごろから人様に攻撃的に吠える悪癖もちの犬であったならば、適切なしつけを施していなかった飼い主にも過失があるといえるでしょう。

 

また、負傷した人が年寄りであったことも鑑みると、医療費を払ってもらえる可能性もなきにしもあらずなのです。

 

ただ、焦ってビビッていたお爺ちゃんにも過失が認められる可能性があります。こうなると、コーギーの飼い主側とお爺ちゃんの過失が、お互い様のチャラ、という流れになってしまうわけです。

 

アクシデント3

 

となりの家のゴールデンレトリーバーがうるさくて、グッスリ眠れない。

 

アクシデントの経緯

 

ウチのファミリーはもの静かな高級住宅街で暮らしています。

 

ウチのとなりの家のゴールデンレトリーバーはやたら吠えまくるゴールデンレトリーバーで、一日中うるさくて困っています。

 

大型犬ゴールデンレトリーバーだけに、吠える声はやたら重低音でよく響くわけです。ウチだけじゃなく、むこう三軒両隣まで迷惑しています。

 

そりゃ、ゴールデンレトリーバーだけに、見知らぬ人が家の前を通ったり、インターホンを鳴らしたり、家を訪れたりすれば吠えるのは当たり前ですから、ガマンできるのです。ゴールデンレトリーバーだって、自分の仕事だと思って吠えてるわけでしょうから。

 

しかし、自分の家族しかいない家の中でまで、24時間吠え続けているのはなぜなのか?という話なのです。

 

となりの家には、何回も文句を言いましたよ。しかし、となりの人は、「ゴールデンレトリーバーですから、多少は吠えますからね‥‥。」などと、まったくの他人事です。

 

ウチの家内など、グッスリ眠れないことが原因で、ついにノイローゼ気味になり、病院通いをするハメになりました。

 

問題解決に向けて、何かいい方法はないのでしょうか?

 

 

法曹の見方

 

これは、ありがちな近所との飼い犬アクシデントですよね。

 

しかし、アクシデントにも大なり小なりのレベルがありますから、アクシデントが起きたらスグに法的手段に訴えれるわけではないのです。

 

やはり、一般的な常識を踏まえて、我慢の限界を超えた場合のみ、相応の犬の飼い主の責任が問われるわけです。

 

もちろん、我慢できる範囲のアクシデントであるならば、「まあ、お互いさんですからねー」で済むことが多いわけです。

 

ただ、このアクシデント2の場合は、アクシデント現場がもの静かな高級住宅街である上、ゴールデンレトリーバーの吠える声も一日中そうとうやかましいようですから、我慢の限界を超えていると認められるケースでしょうね。

 

当該被害者側としては、なるべく早くゴールデンレトリーバーの無駄吠えをやめさせてしまいたいはずです。

 

そこで、被害者側が起こすべき法的措置が、「差止請求訴訟」を裁判所に提起することであります。

 

裁判官が認容判決を下すと、ゴールデンレトリーバーの飼い主側はどうにかして無駄吠えをやめさせなければならなくなるわけです。

 

もちろん、すでに生じてしまった損害についての損害賠償請求の訴えを出すことも可能です。

 

民法の718条1項では、動物のオーナーに、その動物が人様に与えた損害について償う義務があると定めています。

 

この場合、飼い主がちゃんとしつけをしていたとアピールするならば、この証明は、飼い主本人がしなくてはなりません。

 

いずれにせよ、裁判というものは証拠がなければ不利ですので、予め、ゴールデンレトリーバーの飼い主とのやりとりの経緯やゴールデンレトリーバーの吠える声、ゴールデンレトリーバーがよく吠える時刻などの記録をバッチリとっておきましょうね。